【不動産登記】住宅用家屋証明書の取得にかかる必要書類の変更【備忘録】
令和6年7月1日より、住宅用家屋証明書の取得にかかる運用が一部変更となりました。
住宅用家屋証明書とは、新たに新築建物や中古建物を取得した際に、登記する際に納付する登録免許税を軽減することができる書類です。また、金融機関からの借り入れに伴う抵当権等の設定においても登録免許税が軽減されます。
住宅用家屋証明書は、各市町村にて発行されます。
「税金等の費用の負担を軽減することでマイホームの取得を促進する。」ことが、この制度の意義であるため、発行請求の際には、実際に取得した建物に居住していることを示す書類、つまり、住民票を添付することが求められています。
したがって、これまでは、住民票の移動ができなかった場合、原則、この軽減措置を受けることはできませんでした。
やむを得ない事情等で住民票を移動することができない場合、建物を取得する方自身が作成した未入居の理由を疎明した「申立書」による方法もありましたが、要件審査における市町村の事務負担が重く問題視されていたところ、今般、申立書に代えて宅地建物取引業者(以下 宅建業者)が発行する『入居見込み確認書』を提出することで、住宅用家屋証明書を取得できることとなりました。
入居見込み確認書
宅建業者が発行します。
様式は以下のとおりです(引用元:国土交通省)
宅建業者の記名が必要です。押印は不要(浜松市の場合)
一番下の(買主による署名)欄には、買主が署名する必要があります。
要件
この入居見込み確認書による家屋証明書の取得には、要件があります。
- 実際の入居日が、原則、2週間以内
- 入居が登記の後になる具体的な理由を明記する(前住人が未転出、本人が病気、抵当権設定登記を急ぐことなど)
- 上記の具体的理由を疎明する資料を提出しなければならない場合がある(未転出の証明書または引渡し期日のある売買契約書、治療期間の証明書、抵当権設定契約書など)
- 入居日が2週間を超える特別の事情がある場合には、その理由をより具体的に疎明する必要がある
- 現在の家屋(持ち家または賃貸)の処分状況を証明する書類を提出する
現在の家屋の処分状況を証明する書類とは
入居見込み確認書による家屋証明書の発行請求の際は、現在の家屋、つまり、もともと住んでいた家屋の状況を証明する資料を添付する必要があります。
例えば、売却する場合は「売買契約書」、アパートだった場合は「賃貸借契約書」、取り壊す場合は「工事請負契約書等」、親元に住んでいた場合は「親族からの申立書」などがこれにあたります。
処分状況を証明する書類を用意できない場合は、新居の取得に伴う金融機関との間の金銭消費貸借契約書や抵当権設定契約書などを提出することで、それに代えられる場合もあります。
家屋証明書の発行手続は、法令で定められいるとはいえ、その裁量は各市町村に委ねられているのが実情であるため、宅建業者による入居見込み確認書を用いる場合には、事案毎に、市町村に対する事前確認が必要になるかと思います。