【浜松市】不動産の名義変更【司法書士】
登記簿の名義を変更して欲しいと依頼されることがあります。不動産の名義変更とは、所有権、つまり、その不動産を所有している方の名義を変更することです。
ご依頼者の中には、「売買」や「贈与」といった行為をすることを決め、その具体的手続を依頼される方もいますが、稀に、名義を変更するという結果だけを決められている方がいます。
不動産の登記簿の名義を変更することは、実は、簡単ではありません。単純に登記簿という記録を変更すればいいように考えている方もいますが、その名義は好きなように変更できるわけではなく、必ず、変更の際には何かしらの『原因』が必要です。
目次
不動産登記の原因
最初に知っておくべきことは、不動産登記簿は、権利の変遷を記載した記録に過ぎません。そこに記録するしない、つまり、登記手続を行う行わないは自由であり、義務ではありません。
まず、実体上の何かしらの行為や効果があり、その結果に基づき登記簿に記録されるのです。したがって、不動産登記手続をするにあたっては、必ず、原因となる行為や効果が必要となります。不動産の名義を変更するということは、単に登記簿という書類を変更することではなく、その前提として、法律で定められた行為や効果が必要なのです。
TIPS
登記簿は記録に過ぎず、登記することで効力を発生させるものではありません(一部登記が効力要件のものもあります)
登記簿の名義を変更するためには、前提となる法律的な原因が必要です
登記簿の名義変更のための原因とは
登記簿は記録に過ぎず、何かしらの原因があって、初めて登記手続きをすることがきます。
その原因として、一般的なものが、「売買」であり「贈与」などとなります。それ以外にも、「交換」であったり、「財産分与」などもそうした原因の一つになります。また、相続手続きにおいては、「相続」という原因で登記することが多いのですが、これも名義変更のための原因の一つです。
したがって、登記上の名義を変更するためには、その前提として、「売買契約」や「贈与契約」などの契約行為等が必要となります。
契約とは約束のことですから、契約行為自体は難しいものではありません。しかし、契約をすることにより検討しないければならない問題も生じます。例えば、不動産を売れば譲渡所得税という税金が課される場合もありますし、買えば不動産取得税がかかります。また贈与を受ければ、贈与税が発生します。
また、他の諸問題が発生する場合もあります。いずれにしても、登記簿の名義は簡単に変更できるわけではないことは知っておいた方がよいかもしれません。そのような場合には、必ず司法書士などの専門家に相談のうえ、手続きを進めることをお勧め致します。
不動産登記の意義
実は、不動産登記簿上の記録は、絶対的なものではありません。
前項記載のとおり、ある原因があって記録が記載されることとなりますが、不動産登記簿に記載された原因及び効果が必ず真実というわけではありません。こう聞くと、登記簿とはいい加減なものなのかと思われるかもしれませんが、そうではありません。
専門的な話になってしまいますが、不動産登記には『公信力』はないとされています。公信力とは以下のような効力です。
公信力
登記簿の記載が、真実ではなかったとしても、その情報を見て取引をした人が保護される効力のこと
不動産登記に公信力がない以上、登記簿に虚偽の記載があった場合、それを見て取引をした人は保護されないこととなります。しかし、これだけだと、そもそも登記簿の存在意義がないようにも思えます。そのため、登記に公信力が認められない一方で、以下の効力があることは認められています。
登記の対抗力とは
対抗力
登記をしなければ第三者に対抗できない効力のこと(登記をすることで対抗できる)
民法では、「不動産については、登記をしなければ第三者に対抗できない(民法177条)」と定められています。言い換えれば、登記をすることで、第三者に対しても、対抗できることとなります。
例えば、不動産が二重に売買され、買主が2名いるとしましょう。2名の買主は、それぞれ売主との間で売買契約を締結しています。1個しかない不動産を2名の人に売ることに違和感を感じられるかもしれませんが、日本の民法においては、このような場合、まさに対抗力の問題として処理されることとなります。
2名の買主のうち、早く登記をした方が、相手方に対抗できることとなります。但し、売買契約すらしていない人(無権利者)はここでいう第三者には該当しません。契約等無しに勝手に登記だけを備えた者(無権利者)に対しては、真の所有者は、所有者である旨を主張できます。
登記の推定力とは
推定力
登記簿に記載された事項については、その事項が、一応それが本当に存在するものとして推定される効力
登記には、前述のとおり、公信力がありません。また、対抗力はありますが、あくまでも有効な売買契約などを締結し、相手方に対して正当な利益を主張できる人のみが対象であり、無権利者はもちろんのこと、その無権利者から売買等で所有権を移転した人も保護されません。
取引をしようと登記簿を見る人からすると、その登記簿に記載のある事項が、本当か嘘かは分かりません。仮に、その記載事項が、虚偽だった場合、登記には公信力がないため保護されないのです。しかし、不動産取引において、登記簿の記載をまず確認することが通常であることから、登記簿上の記載事項は、本当のものと扱われることとするのが、登記の効力の一つである推定力です。
推定力により、仮に裁判等による争いが生じた際には、登記簿を信じて取引した人は、その登記簿の記録を証明する必要がなくなります。例えば、無権利者である甲野太郎が所有権の名義人である旨の登記簿を信じて、甲野太郎から不動産を取得した人は、無権利者から所有権を取得した者にあたるため保護されませんが、裁判においては、甲野太郎が真実の所有者でないことを証明するのは、裁判の相手方となります。裁判において、何かを証明するということは、簡単なことではないため、登記の推定力があることにより有利な立場となります。
登記の形式確定力とは
形式確定力
既に記録された登記の有効、無効に関係なく、それ以降の登記手続は、それを無視して行うことができないという効力
登記には、様々な事項が記録されていきます。所有者が変われば、新しい所有者が記録されます。また、抵当権などの担保権なども登記も記録されます。新しく何かを登記しようとする人は、それ以前の登記の記録を無視して手続きが出来ません。
上記のとおり、不動産の登記簿は、必ずしも真実を証する書類ではありません。また、公信力もありません。そのため、非常に不安定な記録であるともいえますが、結局、不動産取引においては、この不動産登記簿をもとに取引を行わざるを得ない現状があり、推定力や対抗力といった効力により、取引の安全が損なわれないような配慮がされています。
司法書士は、不動産登記のスペシャリストです。司法書士が業務を遂行する際には、上記のような登記の特色を念頭においたうえで各手続を行います。登記は、あくまでも記録に過ぎませんが、司法書士は、その記録を作成する前提として、正しい手続きがなされているか、その手続きの法的効果などを検討しています。
不動産登記手続自体は単純ですが、その手続を行うためには、しっかりとした法的な知識が不可欠です。不動産の名義変更をご希望の際は、浜松市中区のくわはら司法書士事務所まで、お気軽にお問合せ下さい。
事務所名 | くわはら司法書士事務所(桑原(桒原)司法書士事務所) |
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