権利証画像

不動産登記の意義

 不動産登記には、表示の登記および権利の登記があります。表示の登記とは、土地・建物の所在、面積、築年月日などを公示するもので、土地家屋調査士がその業務にあたり、司法書士は、権利の登記、つまり所有権、賃借権、抵当権などを登記記録上に公示する業務を行います。

 実は、権利の登記は義務ではありません。したがって、不動産を購入し、名義変更の登記をしないことも可能です。しかし、不動産の場合、その対抗力は登記の順位によるとされるため、仮に登記をしないまま放置し、他の第三者が先に登記を備えてしまうと、その者に対して対抗できないこととなります。

事例

  1. 甲は、不動産会社からA土地を購入
  2. その後、乙も、不動産会社からA土地を購入(二重売買)
  3. 甲は登記をしなかった
  4. 乙はすぐに登記をした

甲は、乙に対抗できません。

 権利の登記は義務ではありませんが、後日無用な問題を生じさせないためにも、売買や贈与を行った場合には、直ちに登記を備えることがとても重要です。

事例別 不動産登記の手続案内

 事例毎に、目安となる費用、必要書類等についてまとめてあります。以下の事例のような際には、ご相談ください。

 なお、不動産登記においては、本則の登録免許税が軽減される場合が多々あります。それを知りたい方はこちらをどうぞ。

目次

Q「土地又は住宅を購入した」ー所有権移転登記ー


 売主から買主へ不動産の名義を変更させて頂きます(売買による移転登記)

 通常は、所有権移転登記の費用は、買主が支払います(地域によって若干の差があります)

区分 細目 概要 金額
実費 登記 収入印紙

 固定資産評価額×0.02

後掲「登録免許税の特例措置」参照

登記事項 登記事項確認 不動産の数×334円
登記事項証明書 不動産の数×600円
証明書 住民票 350円
家屋証明書※1 1,300円
報酬 登記 登記申請

66,000円~(税込)※2

不動産2つ目以降は+1,100円

評価額に応じて増加します

登記事項 登記事項確認 不動産の数×1,100円
不動産の数×1,100円

※1家屋証明書取得報酬は、1通8,800円(税込)

※2親族間売買などの場合は88,000円(税込)~売買契約書作成込

区分 必要書類等
買主

①住民票②認印③免許証等
※一定の要件を満たす新築・中古住宅の場合は家屋証明書

売主

①印鑑証明書(3か月以内)②実印③権利証④免許証等

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Q「マイホームを新築した」ー所有権保存登記ー

 マイホームを新築すると、まず表題登記という、建物の構造や床面積といった表示の部分の登記を土地家屋調査士が行います。司法書士は、表題登記完了後の所有権保存登記をさせて頂くこととなります。

 表題登記は、あくまでもその住宅の構造的な詳細について公示することを目的としており、所有者については、所有権保存登記をすることで公示できます。

区分 細目 概要 金額
実費 登記 収入印紙

 固定資産評価額×0.004

後掲「登録免許税の特例措置」参照

登記事項 登記事項確認 不動産の数×334円
登記事項証明書 不動産の数×600円
証明書 住民票 350円
  家屋証明書※1 1,300円
報酬 登記 登記申請

16,500円~(税込)

不動産2つ目以降は+1,100円

評価額に応じて増加します

登記事項 登記事項確認 不動産の数×1,100円
登記事項証明書 不動産の数×1,100円

表題登記報酬は、通常8万程度です。

※1家屋証明書取得報酬は、8,800円(税込)

区分 必要書類等
所有者

①住民票②認印③免許証等
※一定の要件を満たす場合は家屋証明書

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Q「1戸建ての新築分譲住宅(又は既存住宅)を購入した」

 土地については所有権の移転登記、建物については表題登記後の保存登記をさせて頂きます(建物表題登記は、土地家屋調査士が行います)

 分譲住宅の購入においては、土地については売主から買主への所有権移転登記をし、建物については買主名義の表題登記を経た上で買主名義の保存登記をするのが一般的です。

 既存住宅の場合は、売主から買主名義への土地および建物の所有権移転登記を行います。また、新築分譲住宅であっても、建設会社名義の保存登記をした後で、購入者に土地及び建物の所有権移転登記をする場合もあります。

 「費用ならびに必要書類等については、前掲「土地又は建物を購入した」または「マイホームを新築した」をご覧下さい。

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Q「分譲マンションを購入した」

 買主名義での所有権保存登記をさせて頂きます

 分譲マンションは、区分建物として登記されることが一般的です。マンション全体のうち、各部屋は区分された専有部分として登記されます。マンションの専有部分(101号室など)を所有するためには、マンションが建っている土地(敷地)について、何らかの利用権がなければなりません。以前は、敷地部分についても、各部屋毎に所有権移転登記をし、各部屋の床面積に応じた共有持分を取得することもありましたが、現在は、「敷地権」という公示を土地についてはするのが一般的です。

 まず、土地の権利部に敷地権となった旨の公示がされます。そこには各部屋の所有者の名前は入りません。建物全体の土地であるという意味です。建物の権利部にも、土地が建物の敷地権となった旨が記録され、各部屋の専有部分の記録に敷地権全体のうちの持分割合が明記されます。

 なお、土地が敷地権となった旨の公示後は土地をマンションと分離して、土地だけ売ったりするなどの処分をすることはできなくなります。

 マンション購入際の登記としては、所有権移転登記と所有権保存登記がありますが、一般的には保存登記を行います。

区分 細目 概要 金額
実費 登記 収入印紙

建物: 固定資産評価額×0.004

土地:固定資産評価額×0.02

後掲「登録免許税の特例措置」参照

登記事項 登記事項確認 不動産の数×334円
登記事項証明書 不動産の数×600円
証明書 住民票 350円
家屋証明書※1 1,300円
報酬 登記 登記申請

33,000円~(税込)

不動産2つ目以降は+1,100円

評価額に応じて増加します

登記事項 登記事項確認 不動産の数×1,100円
不動産の数×1,100円

※1家屋証明書取得報酬は、1通8,800円(税込)

区分 必要書類等
買主

①住民票②認印③免許証等
※一定の要件を満たす新築・中古住宅の場合は家屋証明書

売主

①印鑑証明書(3か月以内)②実印③敷地権譲渡承諾書④免許証等


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Q「登録免許税の軽減措置があると聞いた」

 登録免許税額は、登録免許税法で規定されていますが、租税特別措置法等において特例措置が定められていることがあります。特に、居住用家屋(マイホーム)の購入においては、登録免許税が少なく済む場合があります。詳細は以下のとおりです。少し細かいので、冒頭で大枠をまとめています。

 

登録免許税軽減措置まとめ

  • 売買による土地の所有権移転は0.015(本則0.02)
  • 新築居住用建物の所有権保存は0.001~0.0015(本則0.004)
  • 中古居住用建物の売買による所有権移転は0.003(本則0.02)
  • 住宅取得資金のための借入に伴う抵当権設定は0.001(本則0.004)

 

租税=租税等区別措置法、租税施行令=租税特別措置法施行令

売買による所有権移転 租税72条1項1号 本則0.02
要件

土地であること

取得原因が売買であること(贈与×)

個人または法人でも可

税率 0.015

住宅の所有権保存 租税72条の2 本則0.004
要件

個人であること
住宅用家屋の新築又は未使用住宅用家屋を取得すること
一棟の家屋で、50㎡以上であること(租税施行令41条1項)
区分建物で、50㎡以上、耐火・準耐火・低層集合住宅であること
 (租税施行令41条2項)
取得後1年以内に登記すること
取得後、居住の用に供すること(実際に住むこと)

税率 0.0015

住宅の所有権移転 租税73条 本則0.02
要件

個人であること
未使用住宅用家屋又は使用済住宅用家屋を取得すること
一棟の家屋で、50㎡以上であること
(租税施行令41条1項、42条1項)
区分建物で、50㎡以上、耐火・準耐火であること
(租税施行令41条1項、42条1項)
使用済住宅は以下のものであること
 耐火建築(注1)は取得日以前25年内に建築されたもの
 (租税施行令42条2項イ(1))
 耐火建築以外は取得日以前20年内に建築されたものであること
 (租税施行令42条2項ロ(1))
 但し、20年(25年)を超えていても、売主が耐震基準適合証明、住宅性能評価書又は既存住宅売買瑕疵保険の写しを提供すれば適用を受けられます
(租税施行令42条2項イ(2)及びロ(2))
取得原因が売買又は競落であること
(租税施行令42条3項)
取得後1年以内に登記すること
取得後、居住の用に供すること(実際に住むこと)

税率 0.003

長期優良住宅の所有権保存および移転 租税74条 本則0.004
要件

個人であること
認定長期優良住宅の新築又は未使用認定長期優良住宅を取得すること
取得後1年以内に登記すること
取得後、居住の用に供すること(実際に住むこと)

税率 0.001(一戸建ての移転については0.002

認定低炭素住宅の所有権保存および移転 租税74条の2 本則0.004
要件

個人であること
認定低炭素住宅の新築又は未使用認定低炭素住宅を取得すること
取得後1年以内に登記すること
取得後、居住の用に供すること(実際に住むこと)

税率 0.001

住宅取得資金に係わる抵当権設定登記 租税75条 本則0.004
要件

個人であること
抵当権の設定登記であること(根抵当×)
住宅用家屋のの新築又は増築(増築後の家屋が住宅用家屋であること)又は未使用住宅用家屋又は使用済住宅用家屋の取得のための貸付、保証であること
一棟の家屋で、50㎡以上であること
(租税施行令41条1項、42条1項、42条2の3の1項)
区分建物で、50㎡以上、耐火・準耐火であること
(租税施行令41条1項、42条1項、42条1の3の1項)
使用済住宅は以下のものであること
 耐火建築(注1)は取得日以前25年内に建築されたもの
 (租税施行令42条2項イ(1)、42条2の3の2項)
 耐火建築以外は取得日以前20年内に建築されたものであること
 (租税施行令42条2項ロ(1)、42条2の3の2項)
 20年(25年)を超えていても、売主が耐震基準適合証明、住宅性能評価書又は既存住宅売買瑕疵保険の写しを提供すれば適用を受けられます
 (租税施行令42条2項イ(2)及びロ(2)、42条2の3の2項

税率 0.001

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Q「住宅ローンの借換えをした」ー抵当権設定登記、抵当権抹消登記ー

 抵当権の設定登記および抹消登記をさせて頂きます

 A銀行の住宅ローンを、B銀行に借り換えた場合、住宅設定されていたA銀行の抵当権設定登記を抹消し、あらたにB銀行の抵当権設定登記を行います。

区分 細目 概要 金額
実費 登記 収入印紙

 固定資産評価額×0.004

登記事項 登記事項確認 不動産の数×334円
登記事項証明書 不動産の数×600円
証明書 印鑑証明書 350円
報酬 登記 登記申請

33,000円~(税込)

不動産2つ目以降は+1,100円

債権額に応じて増加します

登記事項 登記事項確認 不動産の数×1,100円
登記事項証明書 不動産の数×1,100円

 

区分 必要書類等
所有者

①実印②印鑑証明書③権利証④免許証等

 借り換え手続では、抵当権設定登記に加え、抵当権抹消登記が必要となりますが、抵当権抹消登記の費用については、次項をご覧下さい。

Q 住宅ローンを完済した

 住宅ローンを完済すると、住宅や土地に付いていた抵当権は実体上当然に消滅いたします。それにともない、登記上の抵当権設定登記を抹消することができます。完済をすると、金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類を受け取れますので、その場合は当事務所にご相談下さい。

区分 細目 概要 金額
実費 登記 収入印紙

 不動産の数×1,000円

登記事項 登記事項確認 不動産の数×334円
報酬 登記 登記申請

11,000円~(税込)

不動産2つ目以降は+1,100円

登記事項 登記事項確認 不動産の数×1,100円

 

区分 必要書類等
所有者

①認印②免許証等


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Q「住所(氏名)を変更した」

 住所を変更しても、すぐに変更する義務はありません。しかし、将来売却をする場合は、売却による所有権移転登記に先立ち、登記名義人の住所変更登記をしなければなりません。また、抵当権抹消登記をする際に、抵当権設定時から住所が変わっている場合も同様です。

区分 細目 概要 金額
実費 登記 収入印紙

 不動産の数×1,000円

登記事項 登記事項確認 不動産の数×334円
登記事項証明書 不動産の数×600円
証明書 住民票等 350円
報酬 登記 登記申請

15,000円~(税込)

不動産2つ目以降は+1,100円

登記事項 登記事項確認 不動産の数×1,100円
登記事項証明書 不動産の数×1,100円
区分 必要書類等
所有者

①認印②住民票/氏名変更登記の際は戸籍謄本③免許証等

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Q「不動産を所有していた父が死亡した」

 「相続」を原因とした不動産の移転登記をさせて頂きます。

 相続が発生した場合に、法定相続分にもとづいた相続登記も可能ですが、一般的には、相続人間で遺産分割協議をして、その合意に基づき、不動産の相続を原因とした移転登記をいたします。また遺言書があれば、遺言書に基づいた内容の登記を行います。

Q 不動産を贈与した

 贈与を原因とした所有権移転登記をさせていただきます、

 贈与による所有権の移転登記は、売買による移転登記とほぼ同様です。したがって、費用の目安及び必要なものは以下のとおりとなります。
 注意すべき点としては、贈与の場合は、登録免許税の軽減措置が適用されません。つまり、本則である1000分の20の税率で計算されますので、登録免許税が高額となります。

区分 細目 概要 金額
実費 登記 収入印紙

 固定資産評価額×0.02

登記事項 登記事項確認 不動産の数×334円
登記事項証明書 不動産の数×600円
証明書 住民票 350円
報酬 登記

登記申請

(贈与契約書作成費込)

88,000円~(税込)

不動産2つ目以降は+1,100円

評価額に応じて増加します

登記事項 登記事項確認 不動産の数×1,100円
不動産の数×1,100円

 

 

区分 必要書類等
贈与を受ける人

①住民票②認印③免許証等

贈与する人

①印鑑証明書(3か月以内)②実印③権利証④免許証等

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