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会社設立の手続き

目次

・会社設立手続きの流れ及び費用
法人について/法人化のメリットなど
会社の種類

1.会社設立手続の流れ及び費用

設立登記費用

実費 公証人手数料 5万数千円
設立登記の登録免許税 15万円
その他(謄本など) 数千円
報酬 設立登記手続一式 11万円~(税込)

株式会社の設立手続フロー

 最速1週間弱で設立可能です(発起設立の場合。公証役場の予約状況に左右されます)

1.ご相談
まずは、設立を希望する会社の基本事項をお伺いいたします。会社の商号、目的、本店の場所、出資金額、株主及び役員になる方の情報などです。
2.お見積額の提示
当事務所が設立登記にかかるお見積金額をご提示いたします。
3.定款案の作成
お見積額のご納得頂けましたら、当事務所が定款案を作成いたします。定款とは、会社の基礎となる事項を定めた、いわば、会社の憲法のようなものです。
4.委任状、登記書類への押印
当事務所が作成した書類に押印を頂きます。
5.定款認証
当事務所が電子定款を作成し、公証役場にて電子定款認証の嘱託依頼を致します。
6.出資金の払い込み
出資金を株主となる方の口座にお振込み頂きます。
7.登記申請(設立)
ご希望のお日柄などがよい日に登記申請致します。会社の設立日は、登記を申請した日となります。

必要書類等

お客様にご用意頂くもの

  • 株主及び役員となる方の印鑑証明書(3か月以内)1通 ※株主兼役員の場合は1通で可です。
  • 株主及び役員となる方の実印
  • 会社の代表印(ハンコ屋さんで銀行印などとセットで3万~5万円くらいです)
  • 株主となる方の金融機関口座
  • 株主および役員の本人確認書類(免許証等)

2.法人について

 事業をする上で、必ずしも株式会社を設立するなど法人化することは必須ではありません。個人事業として始め、将来において法人となること(法人成り)もできます。

 もちろん、当初から法人としてスタートすることも選択肢として考えられますが、法人化することのメリット・デメリットについてはしっかりと検討すべきです。

法人とは

 民法では、権利能力について次のように定義しています。

民法

  • 私権の享有は出生に始まる(第3条第1項)
  • 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ成立しない(民法33条第1項)
  • 法人は、法令の規定に従い、定款その他基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う(民法34条)  

 つまり、人であれば、出生により当然に権利能力を有しますが、法人は法律の規定により成立することで、権利義務の主体となります。権利義務の主体となるとは、法人の名前で、物を買ったり、貸したりといった法律行為の主体となることを意味します。

 例えば、大学のサークルは一定の目的をもった集まりではありますが、権利義務の主体となることはできません。なぜなら、上記民法の条文で規定される他の法律の規定によって成立し、法令の規定に従って定款などの目的を定めた団体ではないからです。このような団体のことを「権利能力なき社団」といい、他にも町内会などの組織がこれにあたります。これら団体は、権利能力がない訳ですから、本来法律行為の主体となることはできませんが、社団の名をもって権利を取得したり、義務を負っているような体裁をとる契約も現実の社会ではよく見受けられます(例えば、サークルの名で合宿の宿を借りたりなど)
 これについては、判例は、「権利能力なき社団の資産は構成員に総有的に帰属する。代表者によってその社団の名において構成員全体のため権利を取得し義務を負うのであるが、社団の名において行われるのは、一々構成員全員の氏名を列挙することの煩を避けるために外ならない。(従って登記においては、構成員全員の名で登記できない結果として、代表者名義をもって登記するしか方法がない)」としています(最判昭39年10月15日)

 一方、法人はまさに権利義務の主体となることが可能であり、法人が取得した財産は明確に個人の財産と区別されます。それは、つまり、発起人として会社を設立し、株式を所有しているからといって、勝手に会社の財産を動かすことはできないということです。もちろん、役員給与を増額する、あるいは株主配当をすることにより、利益を享受することは可能ですが、法人と個人とは明確に区別された存在であるということは会社設立にあたり留意しておくべきです。

法人化のメリット

イメージの向上

 法人化するとイメージが向上することは事実です。それは一つには、登記によって公示されているため、個人事業のように、実体的に存在しているかどうか不明であるおそれが比較的ないこと、外から会社の概要をある程度は知ることができるため、取引の相手として適切かどうかの判断が比較的容易である点などが挙げられます。また、会社であれば会社法という会社の設立・管理・運営について規定された法律が適用になり、法に従った運営をしているはずであるという意識から組織の信用度が上がることも理由の一つでしょう。


融資を受けやすい

 個人事業の場合、個人と事業の会計の境が不明瞭でなことが多く、いわゆるドンブリ勘定の事業者が多いのが実情です。しかし、法人においては会計がしっかりと個人と区別され明確になるため、金融機関等の融資を受けやすいと言われています。ただし、あくまでも法人の会計状態が良いことが前提であること、そして、代表者の個人保証を求められることも多いことは留意すべきです。


有限責任であること(株式会社)

 株式会社の株主は出資した金額の範囲で責任を負います。つまり、株式の払込金額分の責任を負うだけで、会社が破綻すれば、払込した金額は戻ってきませんが、会社の債務を個人が負う必要はありません。但し、株主兼代表者が会社債務を保証している場合は保証人として弁済の義務を負いますし、取締役として直接的に第三者に対して損害を与えた場合は民法上の不法行為責任が発生します。

 さらに会社法では、任務懈怠により間接的、つまり取締役は直接損害を与えていなくても、会社が損害を与えた場合は、取締役が悪意・重過失であれば、第三者に対し責任を負うとしています。株主としての立場であれば、確かに有限責任でありますが、これから会社を設立しようとする方の多くは、株主兼取締役であることが多いでしょうから、必ずしもメリットとして有限責任があるとはいえません。


各種税務上のメリットがある

・役員報酬の損金計上
・経営者を被保険者とする生命保険料の損金計上
・給与所得控除の適用
・生計を一にする親族が給与を受け取る受け取る場合の配偶者控除、扶養控除の適用
・欠損金の9年繰越
・厚生年金・健康保険に加入できる。個人事業の場合、事業主および専従者は厚生年金に加入できませんが、法人であれば加入できます。


事業承継が容易

 株式会社の代表取締役兼1人株主が死亡した場合、株式が相続の対象となり、株式を相続した者が、あらたに株式を相続し、取締役として会社を運営していくことが可能です。個人事業の場合は、個々の事業で用いていた財産が相続の対象となってしまうことから、株式会社のように単純に株式を承継するだけでは済みません。

法人化のデメリット

法人住民税均等割り

 法人の場合は、赤字であっても、住民税の均等割り最低7万円が課税されます。


登記費用が発生する

 株式会社であれば、設立に際し、登録免許税15万円、定款認証5万円、定款に貼る収入印紙4万円(電子認証の場合は不要)が必要です。また、役員変更をした場合(最低でも10年に1回発生)や登記事項(本店場所の変更など)に変更が生じた場合には、都度登記費用が発生します。


社会保険料の負担

 法人の場合は、従業員数に関わりなく社会保険への加入が義務付けられ、会社負担が発生します。


契約料が高いことがある

 契約の主体が法人になることで、契約体系が変わり、料金が増加することがあります。例えば、電話などは、法人の料金体系と個人の料金体系が異なるため、同じプランであっても、法人になると費用が増加することになります。

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3.会社の種類

 会社とは、法人の一形態であり、さらに会社の中にも、いくつかの組織形態があります。最も有名なものが株式会社であり、その他に会社法が定めている形態が持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)です。会社を設立するにあたっては、どのような会社形態を取ることが適切かをまず検討する必要があります。

 株式会社 「所有と経営の分離」により、株主の有限責任が徹底される反面、経営の自由度は高くありません。会社法では、株式会社の組織に関して強行法的な規定が多いため、それに制約されることがあります。

 持分会社では、株式を発行しないため、株主はおらず、出資した者はその代わりに持分を取得します。出資した者のことを社員と呼び、社員には無限に責任を負うとされる無限責任社員と株主のような有限責任を負う有限責任社員がいます。出資の方法として、株式会社と同様の金銭又は現物出資に加えて、無限責任社員の場合は、信用又は労務出資も認められています。

 社員は、原則、全員が業務を執行します。株式会社においては所有と経営は分離していますが、持分会社では所有と経営は一致しています。なお、社員全員が業務を執行せずに、定款で社員のうちから一部の者を業務執行社員に選任することもできます。

 したがって、このような「所有と経営の一致」により、設立者が小規模で、かつ、人的つながりが強い場合に適した形態です。特に、合名・合資会社はその側面が強く、業務執行の有無に関わらず社員の住所・氏名が登記事項となっている点などは、そうした特徴を反映したものといえます。

 持分会社の大きな特徴として、合名・合資会社では、無限責任社員は無限責任を負う反面、株式会社に比べると定款の定めにより柔軟な組織運営が可能な点があります(※1表参照)) 合同会社は、対外的には社員が有限責任しか負わない点で、株式会社と類似しますが、経営の自由度という点では、合名・合資会社と同じく、定款の定めによる自由な組織運営が可能です。

 組織運営という点でも持分会社は大きなメリットを持っています。株式会社の機関は会社法で細かく規定されているのに対し、持分会社では、「社員」、「業務執行社員」、「代表社員」の3つしか規定されておらず、株式会社のような株主総会の開催方法や取締役会の開催方法などといった手続き面に関しての規定は圧倒的に少ないのが特徴です。これはすわなわち株式会社に比べると事務を簡素化できることを意味し、より迅速な会社運営をすることができる形態といえます。

 また、設立登記費用については、持分会社の場合、定款は作成しなければなりませんが、公証人の認証を受けるべきとはされていないことから、その分の費用がかかりません。そして、公証役場に赴く必要もないことから、株式会社よりも早く設立することが可能です。

持分会社の種類

  • 合同会社(有限責任社員のみ)
  • 合資会社(有限責任社員と無限責任社員)
  • 合名会社(無限責任社員のみ)

持分会社における決議のうち定款で別段の定めが可能なもの ※1表

  • 定款変更(総社員の同意)
  • 組織再編の承認(総社員の同意)
  • 種類変更の承認(総社員の同意)
  • 競業取引の承認(当事者以外の全社員の同意)
  • 支配人の選任・解任(総社員の過半数の同意)
  • 精算人の選任(定款、総社員の過半数の同意、業務執行社員が精算人となる)
  • 精算人の解任(総社員の過半数の同意)
  • 利益相反の承認(当事者以外の全社員の過半数の一致)


 持分会社は、上記のように、株式会社と比べても大きなメリットを持った形態ですが、実際に設立される会社の多くは株式会社です。持分会社のうち、もっとも使い勝手が良いであろう合同会社については、平成18年の会社法施行時に新設された形態であることもあり、未だ馴染みがないことも理由の一つと思われます。

 また、設立する多くの会社は、株主=取締役の機関設定をするような小規模の会社が多く、このような会社においては、手続き的な煩わしさはあるものの、経営判断の迅速さという点においては持分会社に引けを取らないこと、また、そうであれば、あえて対外的な信用の面からも、メジャーになりきれない持分会社を選択するメリットは薄れるということなのかもしれません。

 いずれにしろ、会社を設立するにあたっては、その会社に適した種類の会社を選択することが必要です。友達同士で会社を設立し、将来的な会社の事業拡大を念頭に置くのであれば、株式会社が適しています。反面、家族で会社を設立し、将来的にも家族による組織としたいのであれば、人的つながりが強い持分会社が適しています。

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