【浜松市】遺言の種類‐自筆証書遺言と公正証書遺言【司法書士】
生前対策として、遺言書を作成する方が増えています。「どのような場合に遺言書を作成すべきか」については、別投稿の「遺言書による生前対策」をご覧頂ければと思いますが、ここでは、遺言書の種類について、ご説明いたします。
遺言には、大きく分けて4つの種類があります。
遺言の種類
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
- 一般危急時遺言
このうち、当事務所でその作成をお手伝いしている遺言は、①自筆証書遺言と②公正証書遺言がほとんどとなります。③の秘密証書遺言は、内容を秘密にできるメリットがありますが、実務上、内容を秘密にすることまでを希望される方は多くはなく、あまり用いられることはありません。「相続の基本知識」というページでも、各遺言の内容について説明しておりますので、そちらも合わせてご確認頂ければと思います。
では、実務において多くを占める①の自筆証書遺言と②の公正証書遺言とは、どのような遺言であるのでしょうか。
自筆証書遺言と公正証書遺言
自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴は、以下のとおりとなります。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
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簡単にいうと、自筆証書遺言とは、自分で遺言書を作成する方式、公正証書遺言とは、公証役場で作成する方式となります。公正証書遺言の内容は、公証人と相談しながら決めていきます。そのため専門知識がなくても有効な遺言書を作成することができます。但し、相続財産の多寡に応じて公証人手数料が発生します。
これまで、遺言を作成する場合は、公正証書遺言を選択することが多く見られました。自筆証書遺言は、公正証書遺言のように手数料はかからないものの、デメリットがあったためです。しかし、令和2年より、法務局で「自筆証書遺言保管制度」の運用が開始されたことにより、それらデメリットが解消され、より自筆証書遺言を選択しやすい状況が生まれました。
- これまでの自筆証書遺言のデメリット
- ・自分で原本管理する必要があった
・死後、相続人が裁判所で検認手続をする必要があった
・遺言作成時の意思能力を後日争われる可能性があった
- 法務局における自筆証書遺言保管制度開始(令和2年7月10日)
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自分で原本管理する必要があった
法務局で保管できるようになったため紛失の恐れがない。また、死亡後に発見されない恐れもない。また、他人に勝手に開封されたり破棄される恐れもない。
・裁判所で検認手続が必要だった
検認手続も不要になった
・遺言作成時の意思能力を後日争われる可能性があった
本制度により直接的に解消はされてはいませんが、本制度の手続上、遺言者が自ら法務局に赴く必要があるため、そうした手続自体が後日の証明となり得ます
自筆証書遺言の最も大きなデメリットは、死亡後に裁判所で検認手続をしなければならないことでした。検認手続は、相続人自身でもできますが、司法書士、弁護士等の専門家に依頼すると、結局、公正証書遺言作成にかかる費用と大差がない場合もあり、結果的に公正証書遺言が選択されてきました。
「自筆証書遺言保管制度」を利用することで、その検認手続が不要となることは、とても大きな改善点といえます。死亡後の手続も大きく軽減されます。但し、自筆証書遺言においては、証人が不要であることから、遺産相続において争いがあるような場合においては、遺言内容に不満がある相続人などから、遺言書作成時の遺言者の意思能力の有無などを指摘されやすい傾向はあります。
自筆証書遺言の作成方法
自筆証書遺言を作成する場合、必要なものは、紙、ペン、認印の3つだけです。紙は法律で決まった書式というものはありません。極端な例でいうと、メモ用紙であっても、法令上の要件を満たして作成されていれば、十分に有効な遺言となります。
民法において、自筆証書遺言の要件は、次のように定めれているのみです。言い換えれば、その要件を満たせば、どのような形式であれ、効力がある遺言となります。
民法968条(自筆証書遺言)
民法968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
民法
上記にしたがって、例として遺言を作成してみましょう。
上記は、別紙として「相続財産目録」を作成した例です。画像中でも説明していますが、相続財産目録は、必ず作成しなければならない訳ではありません。遺言書本文中に相続財産を羅列することも可能です。また、特定の相続人だけに全てを相続させたいのであれば、「長男〇〇〇〇に、全財産を相続させる。」と記載すれば、具体的な財産を記載する必要はありません。
自筆証書遺言保管制度の必要書類
法務局で始まった「自筆証書遺言保管制度」を利用する際に必要な書類は以下のとおりとなります。
本来、自筆証書遺言を作成する際には、決まった用紙というものはありません。メモ用紙であっても、要件を満たす限り、遺言としては有効ですが、この制度を用いる際には、保管の都合上、A4サイズの紙に自書する必要があります。また、所定の余白などを確保する必要もあります。
この自筆証書遺言保管制度は、必ず利用しなければならないものでもありません。これまでと同様に、ご自宅等で保管することも可能です。浜松市中区のくわはら司法書士事務所では、遺言作成を希望する方のお手伝いをさせて頂きます。詳しくはお気軽にお問合せ下さい。
事務所名 | くわはら司法書士事務所(桑原(桒原)司法書士事務所) |
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