【住宅メーカー様向け】よくあるご質問【浜松市】

Q&A

 住宅建築手続においては、業務遂行上、色々な検討事項が発生するかと思われます。

 司法書士に関係するところでは、所有権移転登記、所有権保存登記といった登記手続に関わる内容やその前提となる法律的な解釈などの疑問が生じる場合もあるかもしれません。手続に際し、ご不明であろう事項につきQ&A形式でまとめましたので、ご参考にして頂ければと思います。

目次

説明画像

「夫だけを買主として売買契約を締結したけど、夫婦共有名義で登記できる?」

「夫婦で購入する場合の持分はどうすればよい?」

「連帯債務における持分の考え方は?」

「後日、登記した持分を変更することはできる?」

「建築予定地に他の関係ない古い未登記の建物があるのだけど、どうすればよい?」

「不動産の売主が認知症(又は建築予定の底地所有者が認知症の父親など)だけど、どうすればよい?」

「相続人全員の同意を得れば、認知症の人と契約できる?」

「土地購入の際に、登記上の所有者が死亡している場合は、どうすればよい?」

「土地の売買決済手続の流れを教えて欲しい」

10「買主(又は売主)が、決済当日に来られないけど、対応できる?」

11「新築建物登記の流れを教えて欲しい(建物保存登記申請のタイミングは?)」

12建物保存登記完了後、「住宅ローン減税に必要な書類はどのようにお客様に渡している?」

13「どこのエリアまで対応できる?」

14直系尊属から贈与を受けた場合の非課税制度とは?NEW

15夫婦間贈与における贈与税の配偶者控除とは?NEW

「夫だけを買主として売買契約を締結したけど、夫婦共有名義で登記できる?」

「原則、別途変更契約書を締結することが必要です。」

印鑑

 夫のみが購入する予定であった不動産を、後日、「やっぱり妻も一緒に購入することとしたい」といった要望が出ることはよくあります。

 司法書士は、売買契約書をもとに所有権移転登記を行います。そのため、契約書上の買主が夫のみの場合、そのままだと共有名義で登記はできません。

 このような場合は、買主に妻を追加する変更契約を別途締結するのが一般的です。また、売主が承知する前提ですが、元の契約書上の買主署名欄に、妻が追加で署名する簡易的な方法で行うことも考えられます。

 実をいうと、民法上は、売買において、契約書等の書面は必須ではありません。したがって、口頭であっても、売主、買主双方が、当該契約を変更し、買主が夫婦共2名になることを承知したのであれば、買主から夫婦2名に対する売買契約は有効に成立します。

 登記は、実体上の効果があって初めて手続できるものである以上、変更契約書や元契約書の修正がなくても、口頭の約束であっても共有名義で登記は可能です。しかし、契約事については、しっかりとした書面で交わしておかないと、将来において、言った言わないの争いに発展する可能性もあることから、前述のとおり、書面による変更がやはり必要かと思われます。

「夫婦で購入する場合の持分はどうすればよい?」

「売買代金の支払割合に応じて決めることをお勧めします。」

ローン

 不動産の持分に関しては、ご夫婦間で自由に決めることができますが、贈与税の問題が発生する可能性があり注意が必要です。

 4000万円の建売住宅を夫婦で購入される際に、夫が3000万円を負担し、妻が1000万円を負担するとします。この場合、通常、夫持分4分の3、妻持分4分の1で登記をします。もちろん、ご希望があれば、これを夫2分の1、妻2分の1で登記することもできます。しかし、妻の持分を2分の1で登記すると、妻は1000万円しか負担していないのに、2000万円の価値がある住宅を所有することとなり、この場合、夫から妻へ、1000万円の贈与があったとみなされます。

 したがって、所有権の持分については、その負担割合に応じた持分比率とすることが一般的です。実務上は、ほとんどの方が住宅ローンを組んでおり、夫婦で連帯債務者となっておりますが、こうした場合、金融機関に連帯債務の割合を確認し、それにしたがった持分割合とします。

「連帯債務における持分の考え方は?」

「連帯債務は、相互に独立した債務であり、債務者各自の負担割合があります。」

 夫婦で連帯債務契約を締結した場合は、内部的には、夫の負担割合と妻の負担割合が決められることが通常です。つまり、夫は夫で割合に応じた債務があり、妻は妻で割合に応じた債務を負うこととなります。

 連帯債務を考える上で重要なことは、夫の債務と、妻の債務はあくまでも独立した別の債務であるということです。

 4000万円の連帯債務で考えます。

 4000万円のうち夫の負担割合と妻の負担割合が決められ、各人の具体的債務額は、その負担割合に応じた額となります。

 しかし、連帯しているため、夫も妻も自己の負担額だけ返済すればよいのではなく、4000万円全部の返済義務があるのが、連帯債務です。

 したがって、所有権の持分については、この負担割合に応じた、持分とすることが、一般的です。それとは異なる持分にすることもできますが、贈与税の問題が生じます。

 なお、浜松において、静岡銀行、浜松いわた信用金庫の場合は、両行から負担割合に応じた持分の指定がされます。負担割合の明示がない金融機関もありますが、その場合は、依頼者に、どのように返済するかを確認することが必要となります。その返済予定割合に応じた持分で登記することとなります。

 連帯債務割合と異なる所有権持分にすることも可能ですが、以下の住宅ローン減税については確認しておくことが必要になると思われます。

住宅ローン減税における連帯債務負担割合と持分の関係

夫婦で4000万円の分譲住宅を購入

連帯債務割合:夫6対妻4

所有権持分割合:夫持分2分の1、妻持分2分の1

上記の場合は、夫の住宅ローン控除対象となる借入金は、4000万円の60%はなく、持分の範囲である2000万円となります。

また、妻の対象となる借入金は、1600万円となります。

 参考:国税庁HP共有の家屋を連帯債務により取得した場合の借入金の額の計算

「後日、登記した持分を変更することはできる?」

「持分を変更することはできますが、費用が発生します。」

 よくあるのは、夫婦名義で登記した持分比率を変更したいという申出です。

 分譲住宅であれば所有権移転登記、新築であれば所有権保存登記がされることとなりますが、後日、税金の控除枠などを考慮した結果、夫婦の持分を変更したいというお話は稀にあります。

 結論からお伝えすると、登記完了後のこうした持分の変更登記(更正登記)は可能です。但し、各事案につき、費用が発生します。都度お問合せ頂ければ、方法、費用等につきご説明いたします。

「直系尊属から贈与を受けた場合の非課税制度とは?」

「住宅取得のための金銭の贈与が非課税となる制度です。」

 通常、金銭を贈与すると、受贈者(贈与を受けた人)に対して贈与税が課されますが、1000万円までの贈与につき非課税となります。

 要件は幾つかありますが、主なものは以下のとおりです。

 

  • 非課税限度額は、1000万円(省エネ住宅)または500万円(それ以外の住宅)
  • 直系尊属(祖父、父等)から直系卑属(子、孫等)への贈与であること(配偶者の祖父、父等からの贈与は不可。但し、養子縁組していれば可能)
  • 受贈者が18歳以上であること
  • 受贈者の所得が2000万円以下であること
  • 贈与を受けた翌年の3月15日までに新築等をすること
  • 贈与を受けた翌年の3月15日までにそこに住むこと、又は同日後遅滞なくそこに住むことが確実なこと(翌年の12月31日までに住むこと)
  • 贈与を受けた翌年に申告を行うこと

「夫婦間贈与における贈与税の配偶者控除とは?」

「婚姻期間20年の夫婦間において、居住用不動産又はその取得のための金銭の贈与が行われた際に、2000万円まで控除できる特例です。」

 先の直系尊属からの贈与に似た制度ですが、異なる点があります。

 要件の主なものは以下のとおりです。

 

  • 婚姻期間20年を過ぎた後の贈与であること
  • 居住用不動産そのもの又はその取得のための金銭が対象
  • 贈与を受けた翌年の3月15日までに受贈者が現実に住み、その後も引き続き住む見込みであること
  • 贈与を受けた翌年に贈与税の申告を行うこと

直系尊属からの贈与と異なる点

  • 不動産自体を贈与できる(直系尊属からの贈与は、住宅取得のための金銭に限定)
  • 贈与の翌年3月15日までに贈与を受けた不動産又は贈与を受けた金銭により取得した不動産に現実に住むこと

 よって、直系尊属からの贈与の場合は、翌年3月15日までに、実務上は、「上棟証明書」を添付すれば、まだそこに住んでいなくとも手続可能ですが、配偶者控除は、3月15日までに現実にそこに住んでいなくてはなりません。

 ※詳しくは、事例毎に、専門の税理士、会計士にご相談下さい。

「建築予定地に他の関係ない古い未登記の建物があるのだけど、どうすればよい?」

「未登記建物を取り壊すか、又は、登記をすることが必要です。」

物置

 建築予定の底地上に、関係のない古い建物(例えば、物置など)があることは、旧家が多い地域では珍しくありません。このような場合、後日、金融機関から、その建物についても登記をすることを求められます。したがって、現地調査の段階で、そのような建物があることが判明した場合、登記記録がどのようになっているかをまず確認しておく方がよいと思われます。詳しくは以下のリンク先投稿をご覧ください。

「不動産の売主が認知症(又は建築予定の底地所有者が認知症の父親など)だけど、どうすればよい?」

「そのままの状態では、まず契約できないと考えて頂いて結構です。」

高齢男性

 認知症にも症状の段階があるため、契約事を行える場合もあります。軽度の場合、医者の診断書などで確認することなりますが、概して、そのような確認は簡単ではなく、また、認知症の症状は日々進行していくため、ある時期に問題がなくとも、後日、いざ契約をする段階になると症状が重篤化することも考えられます。したがって、住宅建築は長期に及ぶこともあることから、認知症の診断が下されているのであれば、まず、売買契約や建築請負契約などの契約行為は行えないと考えてよいでしょう。

 このような場合は、面倒であっても、成年後見人を選任し、適切な契約を行うことが必要です。成年後見人を選任する場合は、申立てから選任まで2か月程度必要となります。申立の費用は10万円程度です。但し、成年後見人の選任後、売買契約を締結できるか、また、建築請負契約を締結できるかは、裁判所の判断次第となります。

 成年後見制度については以下のページをご覧ください。

 

「相続人全員の同意を得れば、認知症の人と契約できる?」

「相続人の意向は契約において関係がないため、そのような契約を行うことは問題となります。」

 例えば、認知症患者の相続人が長男だけの場合、この長男が契約につき了解しているからといって、認知症の人と契約を締結することはできません。

 確かに、相続人全員が契約行為につき了承しているのであれば、問題はないようにも感じられるかもしれませんが、こうした行為は、民法上の法律違反となります。あくまでも、契約をする際には、本人の意思能力が必要となり、親族であっても、法律上は、あくまでも他人だからです。

 

「土地購入の際に、登記上の所有者が死亡している場合は、どうすればよい?」

「売買による所有権移転の前提として、相続登記が必要となります。」

相続

 登記は、実際に発生した順番に手続することとなっており、登記上の所有者が既に死亡している場合には、死亡した所有者の相続登記をまず申請しなければなりません。

 相続登記の手続は、相続人間ですぐ話がまとまるのであれば、数日で申請することも可能です。一方、相続人間で話がまとまらない、又は、連絡等に時間を要するなどの場合には、数か月以上かかる場合もあります。

 そのような場合は、当事務所にご相談下さい、相続手続完了までお手伝いいたします。

「土地(又は分譲住宅)の売買決済手続の流れを教えて欲しい」

「決済手続は以下のとおりとなります。」

登記
  1. 当事務所に、電話又は売買契約書(借入ある場合はその旨及び借入額&金融機関情報)をメールしてください
  2. 当事務所が見積書をメールで返信します
  3. 当事務所から仲介業者&金融機関に連絡します
  4. 売買決済当日(当事務所が登記を申請します)
  5. 3日程度で登記が完了します(時期によって完了日までの日数は変動します)
  6. 登記が完了した旨及び土地登記簿謄本PDFをメールします。
  7. お客様に、権利書を直接手渡します(遠方の場合はレターパックで郵送)

 ご依頼から翌日決済も理論上は可能です。お急ぎの場合なども柔軟に対応します。 

 決済日前に、お客様に連絡することは基本ありません(必要な場合は、事前に営業の方の了解を頂いてから電話します)

 お客様には、登記完了から2日以内を目途に、権利証をお渡ししております。

 

「買主(又は売主)が、決済当日に来られないけど、対応できる?」

「対応可能です。」

 司法書士は、売買等の登記をするに際し、本人確認することを義務づけられています。したがって、当日決済場所に来られない事情がある場合には、事前に本人確認をかねてお客様宅等に伺い、委任状等に署名押印を頂いております。また、決済当日には、最終確認のため、電話でご連絡させて頂いております。

 また、住宅会社様が売主の場合なども、柔軟に対応することで、お客様の負担にならない形でお手続きをさせて頂いております。

「新築建物登記の流れを教えて欲しい(建物保存登記申請のタイミングは?)」

「新築建物登記については以下のとおりとなります。」

権利証画像
  1. 当事務所に、電話あるいは登記依頼書をメール又はFAXしてください
  2. 当事務所がお客様に連絡し、委任状に署名押印を頂きます。また、その際に抵当権設定登記のために土地の権利書を預かります(預かり証発行)。
  3. 当事務所から金融機関に連絡します。
  4. 建物標題登記(土地家屋調査士担当)
  5. 建物保存登記
  6. 3日程度で登記が完了します(時期によって完了日までの日数は変動します)
  7. 登記が完了した旨をメールでご連絡します。
  8. 預り金請求があれば迅速に手続きを行います。
  9. お客様に、建物権利書及びお預かりした土地権利証並びに建築確認済証、長期優良住宅認定通知書などを、直接手渡しします(遠方の場合はヤマト便で郵送)

 お客様には、表題登記申請日の数日前位を目途に連絡しています。

 お客様には、登記完了から2日以内を目途に、権利証等の書類一式をお渡ししております。

 預り金請求手続についても、社内手続が滞ることがないように、登記完了日又は翌日には完了するように努めております。

建物保存登記の日付について

 新築建物保存登記は、土地家屋調査士による表題登記の後に申請することとなります。

 保存登記申請日については、借入に伴う金融機関の抵当権設定登記等を一緒に申請することもあり、各金融機関側で日付を指定してくることが通常です。

「建物保存登記完了後、住宅ローン減税に必要な書類はどのようにお客様に渡している?」

「お客様には、2~3月の住宅ローン減税申請時に使用する旨を説明し、その書類は別にしてお渡ししています」

 住宅ローン減税申請時の添付書類のうち「建物全部事項証明書(登記簿謄本)」及び「家屋証明書」の2点については、司法書士がお客様にお渡しするのが通常です。数年前まで、建物の権利書を綴じた冊子に一緒にホッチキスで止めてお渡ししておりましたが(おそらくほとんどの司法書士がこのように渡していると思います)、ここ数年来、その2点については、ホッチキスで止めることなく、別にクリアファイルに入れてお渡ししております。

 これは、原本を使用するにしろ、コピーを取るにしろ、ホッチキスで綴じてしまうと、後日、お客様の手間が生じるためです。お客様には、後日の減税申請時に使用する書類である旨を説明し、これら書類をお渡ししております。また、不明点があれば、当事務所までご連絡下さいともお伝えしております。

「どこのエリアまで対応できる?」

「全国対応可能です」

 ご用命があれば全国で対応致します。住宅事案でないですが、実際に、九州、大阪、東京、東北等で登記を申請したこともございます。