【浜松市】戸籍謄本等の取得方法

市役所

 相続手続をする際には、必ず、お亡くなりになった方の戸籍謄本、除籍謄本等が必要になります。

 これら書類は、各市町村で取得できますが、司法書士のような専門家であっても、その手続には、少し面倒な側面があります。よって、この記事では、一般の方向けに戸籍謄本等の取得手続きについて説明させて頂きたいと思います。

(浜松市に本籍地がある方の)戸籍謄本等を取得するには?

 各相続状況に応じて、取得すべき戸籍謄本等は異なりますが、一般的には、別記事で述べたとおり下記画像の書類が必要となります。

 

くわはら司法事務所の相続登記必要書類

 必ず必要となるのは、亡くなられた方の出生から死亡までの変遷が記載されている戸籍謄本等です。これは、妻や子が相続人となる一般的な事案や兄弟や孫、又は姪甥が相続人となるような複雑な事案であっても同様です。よって、まずは、被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得することから始めます。

 戸籍謄本等は、本籍地のある市町村で取得できます。なお、住所地と本籍地は異なりますので、ご注意下さい。

戸籍取得の基本

 出生から死亡までの戸籍謄本等を取得する際、「現在の本籍地から辿って取得していく。」ことが基本です。亡くなられた方の過去の本籍地について詳細に把握されているのであれば問題ありませんが、通常は、親族である相続人であっても、過去の詳細な本籍地までは、ご存じありません。よって、確実に分かる現在の本籍地の戸籍謄本等を取得することから始めます。

 まずは、死亡の記載がある一番新しい戸籍謄本(又は除籍謄本)を取得します。この際、平成6年に戸籍事務がコンピュータ化されましたが、その改製前の手書きの戸籍(改製原戸籍)も取得できます。

 婚姻、転籍等があれば、その改製原戸籍上に、過去の本籍地も記載されているため、次にその過去の本籍地の除籍謄本等を取得します。このように、順に過去の本籍地に遡って取得するのが、戸籍謄本等を取得する上での基本です。

戸籍取得の基本

一番新しい戸籍謄本等から遡って過去の除籍謄本等を取得していく。

 といっても、同じ浜松市内で本籍地を変更されている方であれば、浜松の各区役所で過去の除籍謄本等も取得できるため、それを現在のものから逐一確認して取得するのは面倒です。

 そのため、浜松市に限らず、各市町村の戸籍発行窓口において、同一市町村内での婚姻による新戸籍編製、転籍等であれば、一括で過去のものまで取得できるような配慮がされています。

 浜松市であれば、各区役所に行き、ご自身が相続人である旨を述べ、本人確認書類である免許証又はマイナンバーカードと認印を持参し、窓口で「相続手続のために故人の出生から死亡までの戸籍が欲しい。」旨を伝えると、所定の申請書への記入を求められます。窓口の係の方に従って記入して頂くだけですので難しくはありません。

 浜松の本籍地で出生、死亡された方であれば、1回の手続で、浜松市にある全ての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍が取得できます。

出生から死亡までの戸籍謄本等

同一市町村内であれば、一回の手続で過去の改製原戸籍、除籍謄本も一括で取得できる。

 また、各相続人の戸籍謄本も、必ず必要となります。浜松に本籍地がある方であれば、同様に、各区役所で取得できます。こうした各相続人の戸籍謄本は、各相続人がそれぞれ取得しても構いませんし、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得する際に、一人の相続人が他の相続人の戸籍謄本を取得することも可能です。

 なお、浜松であれば、各相続人の戸籍謄本は、協働センターでも取得できます。しかし、亡くなられた方の過去の改製原戸籍、除籍謄本は、区役所でしか取得できせんので、一括で区役所で取得する方が利便性は高いと思われます。

浜松市の戸籍謄本等の取得

各区役所の窓口で取得できます。

中区に本籍地がある方であっても、東区等の他区役所でも取得できます。

相続人の戸籍謄本は、協働センターでも取得できます(但し、亡くなられた方の過去の戸籍、つまり、除籍謄本等は、区役所でしか取得できません)。

同じ戸籍謄本等を何通取得すべき?

 各戸籍謄本等は、発行手数料がかかります。

 戸籍謄本は1通450円、除籍謄本及び改正原戸籍といった過去のものは1通750円かかります。よって、明治時代に生まれた方の相続では、出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本等が、5,6枚以上になり、発行手数料が意外と高額になってしまうこともあります。亡くなられた方が戦後生まれであれば、おそらく、3枚程度で済むでしょう。

 一般的に、戸籍謄本等は、同じものを2通~3通程度取得することが多いと思われます。これは、相続手続においては、金融機関、証券会社、法務局など手続窓口が幾つも存在し、各窓口で、それぞれこうした戸籍謄本等の提出を求められるからです。もちろん、各窓口にはコピーを提出することも可能ですが、その場合であっても、一旦、原本は持参又は郵送するなど、相手方に提出を求められる場合があります。

法定相続情報一覧図とは?

 平成29年より「法定相続情報一覧図の交付」という制度が、法務局において始まりました。これは、各窓口で同じ戸籍謄本等を提出する煩雑さを軽減するために、まず、一旦、こうした戸籍謄本等と所定の申請により、法務局で家系図のような法定相続情報を認証してもらい、その法定相続情報を各窓口に提出することができる制度です。この制度は無料で利用できます。

 これまで、各手続窓口に対し、それぞれ出生から死亡までの分厚い戸籍謄本等を提出しなければならなかったところ、この法定相続情報を作成すれば、各窓口に対し、このA41枚の用紙(相続関係が複雑な場合は、数枚になる場合もあります)を提出すれば済むため、手続きが簡便となるメリットがあります。また、戸籍取得手数料も各1通で済むため(法定相続情報一覧図作成用に各1通だけ取得すればよいため)に、費用負担が減少します。

 しかし、この法定相続情報一覧図の作成にあたっては、法務局に対して、決められた要式で、家系図のような図を提出する必要があり、それはそれで面倒かもしれません。それを考えると、金融機関などの手続先の数がそれほど多くないのであれば、同じ戸籍謄本等を数通用意する方がよい場合もあります。

  なお、司法書士であれば、この法定相続情報一覧図の作成も依頼として受任できますので、面倒であればご相談下さい。

 

本籍地が浜松市以外にある場合

 

本籍地が他県にある場合、又は転籍(本籍を異動すること)等により、他県から浜松に移動していた場合は、浜松で全ての戸籍謄本等を取得することはできません。各本籍地がある市町村で取得しなければなりません。

 例えば、亡くなられた際の本籍地は浜松であっても、元々東京の港区から転籍をしていた方の場合は、まず、浜松の各区役所で、港区からの転籍から死亡までの戸籍謄本等を取得し、その後、港区役所に対し、出生から浜松に転籍するまでの除籍謄本等を取得しなければなりません。

 こうした遠方の市町村に対し、戸籍謄本等を取得請求する際は、通常郵送で行います。

 

郵送で戸籍謄本等を取得する方法

 各市町村によって、所定の申請用紙はありますが、手続自体はどこも一緒です。

 パソコン印刷環境があれば、まず、各市町村のHPにアクセスします。例えば、港区であれば、「港区 戸籍 郵送」などと検索します。すると、港区役所の郵送による戸籍請求ページが出てきますので、そこにある申請書をダウンロードし、印刷します。

 パソコン印刷環境が無い方であれば、一旦、市町村の担当窓口に連絡し、申請書が欲しい旨を伝えれば、郵送又はファックス等でも送ってもらえます。

 通常、どの市町村のHPにも、郵送請求の場合の記載方法について説明したページがありますので、それを見て所定の申請用紙に適宜記載していきます。もし、不明な点があれば、都度、各市町村に問い合わせれば教えてくれるでしょう。

 

戸籍郵送請求での必要書類

  • 各市町村所定の申請書(HPからダウンロード又は電話で問合せ)
  • 申請する方(相続人であるご自身)の免許証、マイナンバカード等のコピー
  • 定額小為替
  • 場合によって相続関係を証明する戸籍謄本等
  • 返信用封筒(切手添付)

戸籍請求の際に使用する定額小為替とは?

 窓口で戸籍謄本を取得する際は、各窓口で手数料を直接現金で支払うこととなりますが、郵送の場合は、「定額小為替」を利用しなければなりません。

 定額小為替とは、右(スマホだと下)の画像のようなものです。

 定額小為替は、最寄りの郵便局で取得できます。

 50円~1000円までの幾つかの金種があります。発行手数料として、各金種の金額に加えて、1枚あたり200円ほどかかります(例えば、1000円の小為替を取得するには、1200円を郵便局に払うことなります。)

 遠方の市町村に対し、戸籍謄本等を郵送請求する場合、請求先で発行される戸籍謄本等がどのくらいあるかは取得してみるまで分からないため、大抵は、数通取得できる分の定額小為替を購入し、それを郵送します。

 司法書士であれば、おおよその数は判断できますが、一般の方であれば、なかなか難しいと思われますので、とりあえず多めに、1000円の定額小為替を4、5枚ほど用意し、郵送すれば、まず足りるかと思います。

 5000円分の小為替を郵送し、戸籍謄本等の手数料が1950円(戸籍謄本1通、改正原戸籍1通、除籍謄本1通の場合)だった場合、戸籍謄本等と一緒に3050円分の小為替が返送されます。

 余った小為替は、もちろん郵便局で払い戻しをすることが可能です。

 ところで、先に述べたように、金融機関、証券会社、法務局といった複数の相続窓口がある場合には、通常、同じ戸籍謄本等を数通取得しておくことも考えられますが、この場合は、当然、必要通数分の小為替が必要となります。

 もし、各3通ほど欲しいのであれば、1000円小為替12~15枚程度を郵送する必要性も考えられます。但し、小為替を10枚取得すると、それだけで手数料2000円ほどかかってしまいますので、この辺りは前項の法定相続情報一覧図を作成すべきかを含めご検討頂ければと思います。

 

小為替

相続関係を証明する戸籍謄本等とは?

 転籍前の除籍謄本等を、遠方の市町村に取得する場合、遠方の市町村に対し、ご自身が相続人である旨を証明しなければなりません。

 例えば、東京都港区から浜松市に転籍された方の場合、港区役所に対し、除籍謄本等を請求することなりますが、港区役所は、請求される方が相続人であるかどうかを判断できない場合があります。

 成人された以降に港区から浜松に転籍し、浜松で結婚し、新戸籍を浜松で編製された場合、港区では、亡くなれた方の婚姻以降の相続状況は把握できません。港区の除籍謄本等には、出生から浜松に転籍するまでの状況しか記載されていないためです。

 よって、こうした場合には、請求する方ご自身が、その方の相続人である旨を示すために、郵送請求される際に、亡くなられた方と同一戸籍にいた改正原戸籍等及びご自身の戸籍謄本をコピーし、それも同封します。こうした書類により、請求先の市町村は、請求者が相続人であることを確認できることとなります。

 もし、分からなければ、請求先の窓口に電話をすれば、どの戸籍をコピーすればよいか詳しく教えてくれます。

 亡くなられた方が、ご自身の親であれば、コピーする戸籍謄本等も少なくて済みますが、兄弟姉妹や甥姪が相続人として請求する場合には、ご自身が相続人であることを示すために、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本等、亡くなられた方の親の死亡が記載されている除籍謄本等もコピーする必要があり、コピーだけでかなりの量になります。

 非常に手間がかかりますが、現状、各市町村で他市町村の戸籍データを確認できないようなので、どうしてもこうした作業が必要となります。

 郵送請求は、普通郵便で十分ですが、お急ぎであれば速達又は書留で郵送します。普通郵便であれば、発送から10日程度で、同封した返信用封筒により戸籍謄本等が返送されます。