浜松市【相続土地国庫帰属制度】備忘録

相続土地国庫帰属制度受付表

 昨年末、2件ほど相続土地国庫帰属制度の申請を行いました。磐田市1件、浜松市1件でどちらも農地です。これで相続土地国庫帰属制度の申請は、3件目となります。ちなみに、静岡地方法務局の相続土地国庫帰属制度の手続の標準処理期間は完了まで8ヶ月となっております。

 以前、別件で申請をした際には、申請から2ヶ月ほどで現地の実地審査が行われたため、今回もその位のスパンかと思っておりましたが、実は両件ともにまだ実地審査にも入っていません。そのため、現状のところ、月初めに法務局に連絡し、進捗具合を確認し、それを依頼者に伝えるようにしています。

 司法書士は、相続土地国庫帰属制度の申請書の作成代理権があるため、申請人に代わって書類を作成し、法務局に提出することとなります。本来、業務はそれで完結することとなりますが、私は無料サポートとして、実地審査にも立ち会うようにしています。実地審査の手続上は、申請人や書類を作成した司法書士が立ち会う必要はありませんが、登記申請と異なり、手続が数か月に及ぶ相続土地国庫帰属申請において、当初の書類を作成しただけで終わってしまうことは、一般の方である依頼者に負担をかけてしまうと考えているからです。

 なお、静岡地方法務局の場合、申請時に求めることで、画像のような受付表を交付してもらえます。依頼者には、この受付表の写しをお渡ししています。

道路との境界

 既に解決済ですが、今回の2件の申請の実地検査までの時間がかかっている要因に道路との境界の問題がありました。道路は私道を除き公共物となりますので、国、市、村などの行政機関が所有しています。浜松市、磐田市の土地であれば、大抵、浜松市役所か磐田市役所の管轄となります。

 道路と土地との境界は、いわゆる「杭」が存在する場合もありますが、無い場合又は草木が生い茂ったりして見つけられない場合もあります。

 相続土地国庫帰属制度の申請においては、境界が定まっていることが絶対条件となるため、杭が無い場合、申請ができません。よって、その場合、杭を打つなどして境界を明示することが必要となります。

 申請をする際に、境界を図面で明示した書類を作成することとなりますが、法務局はその図面を隣地の所有者に送付し、境界に異議がないかどうかを確認します。隣地が一般の方であれば、その方に送付することとなりますし、道路であれば浜松市役所の道路保全課などに送付されます。

 隣地所有者が、申請人が示した境界に異議がなければ、異議無しにチェックをいれて、法務局に返送することとなりますが、今回、浜松市の土地において、道路所有者である浜松市役所からの回答が異議有となっていたため時間がかかりました。

 浜松市の場合、他の市町村に比べて、異議有とした回答をすることが多いのが実情です。申請人が示した境界と浜松市が把握している境界が異なる、あるいは、争いがあればもちろん当然に異議有となりますが、浜松市の異議の多くはそうした理由からではなく、市が立ち会いのうえ官民確定した境界の記録が無いという、どちらかといえば消極的な理由から異議有としているものです。一応括弧書きで、所有権界に争いはない旨を記載しているようですが、法務局のように書類審査をする部署においては、書面上異議有となっていると、手続が滞ることとなってしまいます。

 いずれにしてもそのままでは、手続を進めることはできないため、詳細は伏せますが、法務局に浜松市と協議してもらい、最終的に異議無しとの回答を得られることとなりました。

 

所有権界

 相続土地国庫帰属制度で必要な境界とは、「所有権界」になります。「筆界」ではありません。所有権界とは、所有権の範囲を示す境界であって、隣接する各土地の所有者の合意により自由に変更することができます。

 もし、浜松市のような行政機関が、筆界やあるいは土地家屋調査士による官民立会の上の境界確定作業などを経ない土地を全て異議有とするのであれば、相続土地国庫帰属制度は立ちいかなくなります。

 何故なら、予納金で最低20万円以上を納付する必要があり、かつ、申請段階で受理されるかどうかも不明にもかかわらず、境界を明確にするために土地家屋調査士に依頼する必要があるのであれば(一般的な土地家屋調査士の報酬として50万円程度かかります)、申請件数は大幅に減少するのは明白だからです。

 一方で、浜松市のような行政機関の立場も理解はできます。所有権界といえども、書面上の記録として境界を容認することは、消極的にならざるを得ないでしょう。手続が進めば、隣地所有者が、「民」ではなく、国、つまり市役所等と同じ「官」となるため、一般の道路境界確定よりは、市役所等の行政機関内の判断のハードルは下がるかと思いますが、とりあえず異議有としておく気持ちも分からなくはありません。

 相続土地国庫帰属制度は、新しい制度ですので、今後、こうした問題点も解決されていくことと思いますが、もう少しスムーズに手続が進んでいけば、より利用しやすい制度になるかと思います。

 ところで、隣地所有者が、官ではなく民の場合ですが、私の場合、必ず、当初の申請段階において、隣地所有者にも連絡するようにしています。法務局から境界の確認についての書面が送付されてくることを伝えておかないと、後日、手続が滞る可能性だけでなく、無用なトラブルが発生する可能性もあるからです。この隣地所有者の確認及び連絡作業は、相続土地国庫帰属制度を申請するうえで、必須になると考えます。

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