【令和8年4月1日】住所変更登記の義務化【浜松市】
令和6年4月1日より相続登記の義務化が既に始まっておりますが、来年より、住所変更登記も義務化されます。これは、いわゆる空家問題等の解消のために実施される方策の一つで、相続登記の義務化と意義を同じくするものです。
令和8年4月1日施行日から開始され、違反者は過料に処されます。
相続登記の義務化も同様ですが、従来、不動産登記は義務ではなく、むしろ自己の権利を守るために登記申請する側面が強かったこともあり、こうした義務化による過料の手続が実際どのように行われるのかにつき不明な点が多くあったところ、先般、日本司法書士連合会から、その取扱いについての通達がありました。
住所変更登記違をしていない場合の手続
住所を移転したにも関わらず、正当な理由なく住所変更登記を怠ると、5万円以下の過料に処されます。この過料手続は、最終的に裁判所によって行われますが、その前提として、まず管轄法務局より違反者に対し、以下の画像の催告書が書面にて届きます。
催告書には、住所変更登記をしていないことにつき「正当な理由」がある場合には、それを記載する欄も設けられています。どのような事象が正当な理由として判断されるかは、各事案毎に、登記官が総合的に考慮して、その判断を行います。
正当な理由として、通達上で列挙されているのは、以下のとおりです。
- 検索用情報申出をしている者
- 行政区画の変更により住所に変更があった者
- 重病、その他これに準ずる理由がある者
- DV防止法により、住所を明かすことで、危害が加えられる恐れがある者
- 経済的に困窮している者、登記費用を負担する能力がない者
例えば、高齢の父名義になっている不動産があり、父の住所を自宅から施設に移転した場合、その父が認知症で登記手続を行えないなどの理由であれば、上記の重病、その他これに準ずる正当な理由として判断されるかもしれません。
なお、催告書には、期限の欄も設けられています。不動産登記規則第164条によれば、登記官は、違反者に対し、「相当な期間」を定めたうえで催告するとされています。相当な期間がどのくらいになるかは登記官の判断となりますが、2週間程度かと推測されます。催告されたにも関わらず、この相当な期間内に住所変更登記がを申請しない場合には、法務局から裁判所にその旨が報告され、過料請求手続が開始されることとなります。
実際に過料に処されるのか
この制度は、先に施行された相続登記の義務化と同様に、これまで義務ではなかった不動産登記の例外として、運用が開始されるものです。したがって、新しい制度であるため、今後、実際にどのくらいの頻度で、法務局が住所変更登記義務違反者に対し、催告書を送付するのかはまだ分かりません。
例えば、司法書士が担当する権利部の登記(所有権移転、抵当権設定など)と異なり、土地家屋調査士が担当する表題部(地積、構造、地目など)の登記は、以前より義務とされ、過料罰も規定されていますが、これまで過料に処されたという話は聞いたことがありません。
しかし、ここで商業登記(会社登記)に目を向けてみると、株式会社の登記を12年以上放置した場合に、同じような手続が既に採られています。まず、法務局から違反会社に書面が届き、その後、過料に処すべき理由があれば、法務局から裁判所にその旨の連絡がされ、実際に違反会社は過料に処されている実情があります。
また、先に始まった検索用情報申出の制度においての説明では、法務局は定期的に市町村の住基ネットから住所データを入手するとのことですが、マンパワーで膨大な数の登記名義人の住所を一人一人確認することは、現実的に不可能なことから、何かしらのシステムが既に構築されているはずです。そのシステムを用い、住基ネットの住所データと登記名義人の住所が異なる場合が判断されるものと推測されます。
であれば、おそらく、違反者に対しても、画一的に催告書の送付がされるでしょうから、個人的な予想ですが、住所変更登記の義務に違反している場合は、確実に催告書が届き、さらに催告書記載の期間内に住所変更登記を怠ると、確実に過料に処されるものと思われます。
いずれにしても、過料に処される処されない以前の話として、相続登記、今回の住所変更登記が義務化された以上、その義務を履行しなければなりません。登記上の住所が現在の住所と異なる方は、できるだけお早めに最寄りの司法書士にご相談ください。




