【浜松市】遺言書による生前対策

遺言書を作成したいとのご相談を頂くことがあります。各ご家庭のご事情によって、そう考えられた背景は様々ですが、皆さんに共通しているのは、ご自身がお亡くなりになった後に、残された息子さんや娘さんといった相続人に迷惑をかけたくないというお気持ちです。しかし、必ずしも全ての事例において、遺言書を作成することをお勧めするわけではなく、なかには、遺言書を作成しなくても問題がないと判断し、その旨のアドバイスをさせて頂いたこともあります。
そもそも、遺言書を作成すべき場合とは、どのような状況でしょうか。反対に、遺言書を作成する必要がない場合とは、どのような状況でしょうか。幾つかの事例を用いてご説明いたします。
遺言書を作成すべき状況とは
相続財産の帰属先を決めるには
ご自身がお亡くなりになった後、遺産は、遺産分割協議の中でその帰属先が決定されます。遺産分割協議を行わない限り、原則、いつまでも相続手続が完了しません。つまり、将来、残された相続人同士で円滑に遺産分割協議を行えるかどうかが、遺言書を作成すべきか否かの一つの基準となります。
1.連絡が取れない息子さん等がいる場合
ご自身がお亡くなりになった後、ご自身の相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産の帰属先を決めることとなります。この際、相続人が一人でも欠けると、この遺産分割協議を行うことができません。こうした場合、遺産を管理している相続人は、連絡が取れない相続人の居場所をなんとか探そうと試みることになりますが、それは簡単ではありませんし、精神的な負担も大きくなります。最終的にどうしても探すことができない場合は、裁判手続における「不在者の財産管理人制度」などを用いて、この遺産分割協議を行うこととなりますが、それは相続人にとってあまりにも面倒です。
こうした場合に、事前に遺言書を作成し、財産の帰属先を定めておくことで、遺産分割協議をする必要がなくなります。つまりは、連絡が取れない息子さん等の関与なくして、他の相続人が手続を円滑に進めることができるようになります。
親の立場からすると、連絡が取れない息子さん等に対しても、公平に財産を残してあげたいというお気持ちもあるかと思います。こうした場合であっても、事前に遺言書を作成し、財産の帰属先を決めると同時に、遺言執行者という制度を用いることで、遺言執行者が連絡が取れない息子さんの居場所を調査し、その方に財産を引き渡すことも検討できます。
2.相続人同士が不仲の場合
上記1と同様の側面がありますが、相続人同士、例えば兄弟同士等が不仲な場合にも遺言書は有効です。実際に、同じ市内に在住し、すぐに連絡が取れるのにも関わらず、顔を合わせることを相続人の一方(又は双方)が拒むために、遺産分割協議を行うことができず、結果的に裁判手続に移行せざるを得なかった場合もあります。
こうした場合が予想されるのであれば、事前に遺言書により財産の帰属先を決める実益があります。
3.相続人以外に財産を渡したい場合
相続人が不在の場合は、遺産は国庫に帰属します。つまり、国のものとなります。こうした際には、通常、相続人以外である親族などに遺産を渡す旨の遺言書を作成することが多くみられます。
また、相続人がいる場合でも、相続人以外の特定の方に財産を渡したいと希望されることもあるでしょう。この特定の方は、親族でも、それ以外の第三者でも構いません。
具体例
- 相続人がいないため、他の親族等に遺産を渡したい
- 内縁の妻に遺産を渡したい
- 相続人以外のお世話になった方に遺産を渡したい
こうした場合には、遺言書がまさに有用となります。遺言書以外でも、生前に贈与等で渡すことは可能ですが、贈与税等を考慮すると、遺言書により遺産として渡す方が税務面でも負担が少ないことが多いと思われます。
4.各相続人の遺産取得額を指示したい場合
遺産は、相続人間における遺産分割協議において、その取得額や帰属先が決定されますが、多くの場合、民法で規定された法定相続分に従って分配されます。しかし、遺産を特定の相続人に多めに渡したいなどのご自身の希望がある場合には、その希望に沿った遺言書を作成することで、最終的な遺産の帰属を、ご自身の意向に近づけることが可能となります。
極端な例でいえば、ある特定の相続人にのみ遺産を取得させる旨の内容で遺言書を作成することも可能です。ただし、民法上「遺留分」という制度がありますので、それに抵触する分については、結果的にご意向に沿えない結果となる場合もあります。詳しくは、ご相談頂いた際にご説明申し上げます。
具体例
- 家を継ぐ長男に遺産を多く渡したい
- 特定の遺産を特定の相続人が取得できるように指示しておきたい
- 遺産全体に対する割合で相続人の取得分を指定しておきたい
- 別居中の妻に財産を渡さないようにしたい
遺言書を作成する必要がない場合とは
相続人間で遺産分割協議を行える状況であれば、原則、ご自身がお亡くなりになった後は、残された相続人に遺産の分配を任せてしまってよいでしょう。上記のような状況やご自身の希望がないのであれば、遺言書を作成する必要性はないと考えて頂いて構いません。実際、当事務所で受任した相続手続は、相続人による通常の遺産分割協議によるケースがほとんどです。
しかし、遺言書に記載するのはあくまでも法的な事柄が原則ですが、ご自身のご意向やお気持ちを相続人に伝えたいのであれば、遺言書を活用することの意味もなくはありません。当事務所では、ご依頼者のご希望をしっかりとお聞きしたうえで、一緒に最適な方法を検討してまいります。
事務所名 | くわはら司法書士事務所(桑原(桒原)司法書士事務所) |
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代表者 | 桒原徹(桑原徹) |
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